
コンポストとはどういうものか?と調べていませんか?
コンポストは、生ゴミや落ち葉などを堆肥化する道具として認識されていることが多く、ゴミの減量化、環境負荷の軽減などのメリットがあるとされています。
そこでこのページでは、生ごみ処理機おたくの筆者が、コンポストについて詳しく解説していきます。
このページを読んで頂くことで、コンポストについての理解が深まるでしょう。
1.コンポストとは?
コンポストとは、落ち葉や生ゴミなどの有機物を微生物の力で分解発酵させて作る「堆肥(たいひ)」のことをいいます。
そして、コンポストを作るための道具や容器のことを「コンポスター」といいます。
しかし日本では、「コンポスト(堆肥)」と「コンポスター(堆肥を作る道具)」をまとめて「コンポスト」という呼び方をすることが多いです。
- コンポストの特徴
- コンポストの2つのタイプ
1-1.コンポストの特徴
コンポストには、下記のような特徴があります。
- 電気代が不要(電気を使って処理を早める機器もあります)
- 石油などの化石エネルギーや化学薬品を使わない
- 微生物の力を利用して生ゴミを分解発酵して減量できる
- 良質な堆肥を作れて家庭菜園などで利用できる
- 土壌中の微生物が増える
コンポストは、微生物の力を利用して生ゴミを堆肥に変えることができる「生ごみを処理する道具」として注目を集めています。
生ゴミを処理する家電製品としての生ごみ処理機もありますが、広い意味では生ごみ処理機もコンポストに含まれます。
1-2.コンポストの2つのタイプ
コンポストは、「生ごみ」を材料にして作るタイプと「落ち葉」を材料にして作るタイプの、2つのタイプがあります。
- 生ごみコンポスト
- 落ち葉コンポスト
① 生ごみコンポスト
生ごみコンポストは、生ゴミなどの有機物を材料にして堆肥を作ります。一般的にコンポストというと、このタイプのことを指します。
発酵させて生ゴミを分解するので、落ち葉コンポストと比べると短期間で堆肥を作ることができます。
② 落ち葉コンポスト
落ち葉コンポストは名前の通り、落ち葉を材料にして腐葉土を作ります。
生ごみコンポストと比較すると、ゆっくりと分解されていくので腐葉土ができ上がるまで時間がかかりますが、自宅で簡単に質の高い腐葉土を作ることができます。
2.コンポストの5つの種類と[使い方・手順]自作の方法まで
コンポストは、容器や設置場所、分解に使用する材料などによって様々な種類があります。その中でも代表的な5つの方法を簡単に表でまとめました。
この章では、それぞれがどういったコンポストなのか、また、手軽にはじめられるキットの紹介や、自作の方法について解説していきます。
段ボールコンポスト | 土中式(鐘の形状タイプ) | 密閉式 | バイオ式電動生ごみ処理機 | ミミズコンポスト | |
設置場所 | 屋内(屋外の場合は雨で濡れない場所) | 土のある場所(庭・畑) | 屋内・屋外 | 屋内 | 屋内(屋外の場合は雨で濡れない場所) |
温度管理 | 必要 | なし | なし | なし | 必要 |
かき混ぜ | 毎日 | 週に1回程度 | なし | なし | なし |
発酵方法 | 好気性菌 | 好気性菌 | 嫌気性菌 | 好気性菌 | みみず |
分解期間 | 3ヶ月程度 | 3ヶ月程度 | 2週間程度 | なし | 約3~4ヶ月 |
熟成期間 | 1ヶ月程度 | 2ヶ月程度 | 1ヶ月程度 | 約1日 | なし |
メリット | お手軽で低コスト | 大量の堆肥を作りやすい | 液肥ができ、手間がかからない | 手間がかからず早い | 臭いが少ない |
デメリット | かき混ぜや温度管理の手間がかかる | コンポストを埋める場所(庭・畑)が必要 | 発酵液をこまめに抜く必要がある | 初期費用・ランニングコストがかかる | 生ゴミを少量ずつしか投入できない |
コンポストを作る5つの方法をご紹介しましたが、私がオススメする方法は、「密閉式」か「バイオ式電動生ごみ処理機」です。
その理由は、手間をかけずに生ゴミを堆肥化できるからです。
費用をかけれるのであれば「バイオ式電動生ごみ処理機」、費用も抑えたいのであれば「密閉式」がオススメです。
2-1. 段ボールコンポスト
段ボールを使って自分で作れるお手軽なコンポストです。
段ボールは通気性があり、保水性が高く、保湿性もあるため、コンポストとして向いている容器です。費用を安く抑えることができる反面、耐久性が低いのが難点です。
空気が好きな微生物を使って分解・発酵させるため、毎日かき混ぜが必要です。また、温度も10℃以下にならないように管理する必要があるため、手間がかかります。
[段ボールコンポスト]
引用:Amazon
- 価格:1950円
- 生ゴミ処理能力:??
- サイズ:約幅60×奥行30×高さ30cm
商品配送用の段ボールを、そのままコンポスト容器に活用します。
段ボールコンポストで必要な材料がすべて揃っているので、届いたらすぐに始められます。
購入はこちら→Amazon
段ボール式コンポストの作り方と手順
段ボールコンポストを自作する場合の手順についても紹介します。
<必要なもの>
- ビートモス(腐葉土や堆肥などと同じ土壌開発剤)
- 籾殻くんたん(米を精米するときに出る籾殻に熱を加え炭化させたもの)
- 段ボール箱
<手順>
- 段ボール箱から土が漏れないようにガムテープなどでしっかりと補強します。(長期間使うものなのでなるべく丈夫に)
- ビートモスと籾殻くんたんをおよそ6:4の割合で混ぜたものを段ボールに入れる。
- 生ゴミを段ボールに入れ、混ぜ合わせ生ゴミが地表に出ないように土をしっかりかぶせる。
- 生ゴミが出るたびに、空気が入るように混ぜ合わせて生ゴミを埋める。
- およそ3ヶ月程で生ゴミの投入を一旦やめ、1ヶ月程度熟成させるために放置すると、堆肥の完成です。(温度が10℃を下回ることがないように気をつけてください)
2-2.土中式(鐘の形状タイプ)
底に穴が開いたコンポスト容器を使用します。土に穴をほって埋め込み、土壌中の微生物の働きで分解します。大量の堆肥を作ることができるの、農家などでも利用されます。
温度管理の必要がなく、かき混ぜる頻度は週1回程度で良いのですが、コンポストを土に埋めるスペースが必要になりますので、庭や畑がある人向けです。
[土中式]エココンポストEX-101 ブラック
- 処理方式:コンポスト(土中式)
- 価格:¥3,545
- 容量:100L
- サイズ:60*60*52.2cm
- 設置場所:屋外
『エココンポストEX-101 』は、生ゴミを投入し、土をかぶせて堆肥化するタイプのコンポストです。
堆肥までに時間が、1〜3ヶ月と長く、比較的大きいので、庭が広くないと目立ってしまうかもしれませんね。
生ゴミや落ち葉など投入量が多い人や、庭が広い人におすすめです。
土中式コンポストを使う手順
土中式のコンポストを使う手順についても紹介します。
<必要なもの>
- プラスティックの容器を使ったコンポスト
- 発酵促進剤or米ぬか
- 枯草や枯葉
<手順>
- 陽当たりの良い場所に20〜30cm程の穴を掘ります。中心部がさらに深く20〜30cm程穴を掘ります。
- コンポスターを設置し、盛土し台風などでも飛ばないように踏み固めます。
- 枯れ葉や、枯れ草を入れます。
- 生ゴミを投入します。ぼかしや米ぬか、発酵剤を入れれば発酵がはやまります。
- 生ゴミを入れたらかき混ぜましょう。
- 中身が8割くらいになったら、コンポスターを土から引っ張り出し、中身にビニールシートなどをかぶせて、3ヶ月ほど熟成させて完成です。1月に1回程度混ぜて空気を取り込ませましょう。
2-3.密閉式
ぼかしや米ぬかを入れて密閉し、酸素を必要としない嫌気性の微生物を使って分解・発酵させます。密閉することで発酵を早めることができ、2週間程度で堆肥を作ることができます。
密閉式なので虫がわきにく、温度管理やかき混ぜる必要もありません。
発酵が進むと発酵液が出てくるので、こまめに取り出す必要がありますが、取り出した発酵液は液肥として利用することができます。
密閉式コンポスト
- 処理方式:コンポスト(EM発酵)
- 価格:¥2,363
- 容量:19L
- サイズ:29*29*41cm
- 設置場所:屋内・屋外
『密閉式コンポスト』は、生ゴミを発酵させ、液体の堆肥を作るコンポストです。数日から数週間で液肥が取れます。
ふたでしっかりと密閉できるので、ニオイを漏らしません。バケツの取手がついているので、持ち運びは便利です。
ニオイが出やすく、お手入れは大変です。
購入はこちら→[Amazon]
密閉式コンポストの使い方と手順
密閉式コンポストの使い方と手順についても紹介します。
<必要なもの>
- 10〜20Lの密閉式容器(水抜きコック付)
- ぼかしor米ぬか
- 新聞紙
<手順>
- 新聞紙を敷く
- ぼかしをまく(軽く一握り分程度)
- 生ゴミを入れて混ぜる
- 空気を抜きながら中フタをして、さらに上フタをしてしっかりと密閉する
- 発酵が進むと、発酵液が底部にたまるので取り出す。液体は液肥として使えるので、1000倍〜2000倍に薄めて使う(発酵液を取り出さないと、臭いの発生に繋がるので注意が必要です)
- 容器がいっぱいになったら、夏場は1週間、冬場は2週間、生ゴミを追加投入をせずに熟成させて完成です。
2-4.バイオ式電動生ごみ処理機
電動式の生ごみ処理機なので、かき混ぜや温度管理を自動で行ってくれるため、手間がなく、臭いもしないので、快適に生ゴミを処理したい人におすすめです。
ただし、初期費用や電気代などのランニングコストがかかってしまうことがデメリットです。
バイオ式の生ごみ処理機については、こちらのページで紹介していますので、参考にしてみてください[バイオ式生ゴミ処理機ランキング|人気でおすすめ10選【2020年】]
[電動生ごみ処理機]ナクスル
引用:Amazon
- 処理方式:ハイブリッド式(電動タイプ)
- 価格:¥127,600
- 処理容量:1kg~1.5kg/1日
- サイズ:幅380×奥行43×高さ58cm
- 電力:60W
- 設置場所:室内用 (屋外も可)
「ナクスル」は、価格は高めですが、室内用でニオイも出ず、手間がかからないので、快適に使いたい人におすすめの商品です。
中身が増えないので、ゴミを取り出す必要はありません。初期コストは高いですが、電気代が安いので、乾燥式と長期的には大差がなくなります。
サイズは少し大きいですが、ニオイや面倒なことがない点を踏まえてもナクスルがおすすめです。
2-5.ミミズコンポスト
名前の通り、ミミズに生ゴミを食べてもらって分解し堆肥にする方法です。
かき混ぜの必要がなく、温度管理は10~25℃を維持できれば良いので、比較的手間はかかりません。発酵中に匂いが出にくいのも特徴です。
ただし、ミミズが苦手な人にはできない方法で、堆肥が出来上がるまでには3~4ヶ月と時間がかかります。
[ミミズコンポスト]
引用:amazon
- 価格:16,170円
- 生ゴミ処理能力:約250g/日
- サイズ:約40L x 40W x 43H cm
- 材質:再生プラスチック
- ミミズの種類:シマミミズ
堆肥を取り出しやすい3段構造です。ミミズコンポストに必要な材料がすべて揃っているので、届いたらすぐに始められます。
セット販売ではなく、コンポスト容器だけの販売もあります。
購入はこちら→amazon
ミミズ式コンポストの作り方と手順
ミミズ式コンポストを自作する方法とその手順について紹介していきます。
<必要なもの>
- 容器(ミミズや基材を入れるためのもの。ベニヤ板の箱や、プラスティックなど)
- 受け皿
- ココナッツ繊維
- 牛糞堆肥かピートモス
- おがくず、新聞紙など
- ミミズ(500g〜1kg)
コンポストの設置場所は、温度が30℃を超えず、10℃を下回らないような場所であることと、雨が降っても水がかからないこと、直射日光が当たらない場所(日光が当たる場合は、遮ぎれれば問題ありません)が条件です。みみずは釣具屋で数十匹が300円前後で売られていますので少しずつ増やしていくこともできます。
<手順>
- ミミズを入れるための容器の箱の底に、錐やドリルで直径1cm程度の穴をたくさん開けます。(液肥となった汁が出る場所)
- 箱の下は空気が通るように地面から浮かせて、穴の下にトレイなどをおき、液体を貯めれるようにします。
- ココナッツ繊維を湿らせたものを箱の底にしき詰め、おがくずや新聞紙、牛糞堆肥もしくはビートモスを入れて、混ぜ合わせて、しっかりと湿らせます。※新聞紙は細かくちぎって入れる
- そこに500g〜1000gのみみずを流し入れ、2〜3日放置します。
- 生ゴミを入れます。生ゴミに土をかぶせて生ゴミが表面に露出しないようにしましょう。
- 5を毎日繰り返します。
- 3ヶ月程度の期間が経ったらミミズ入りの堆肥の完成です。
- みみずを再利用する場合は、新しく基材を用意しミミズを移し、また5を繰り返します。
ミミズは1日に自分の体重の半分の量を食べるので、その量を大きく超えない量の生ゴミなら入れても大丈夫です。生ゴミは地表に出ていると、虫の発生や臭いの発生につながるので、気をつけましょう。ミミズは自分の糞尿の量が多くなると死んでしまいますので、放置しすぎないように気をつけましょう。
3.コンポストに入れて良いもの・ダメなもの
コンポストは微生物の力で生ゴミを分解します。
そのため、微生物が分解できないものは、投入できません。
分解しやすいものもあれば、分解しにくいものもあります。そして入れてはいけないものもあります。
入れて良いもの | 分解されにくいもの | 入れてはダメなもの |
・野菜、果物 ・ご飯、パン、麺類 ・卵の殻 ・魚、肉類 ・茶葉 ・コーヒーかす(少量のみ) |
・生米 ・野菜の皮、芯など硬いもの ・果物の種 ・魚や肉の骨 |
・貝殻 ・割り箸や爪楊枝 ・ラップ、ビニール袋など |
4. コンポストを使う時の3つの注意点
この章では、コンポストを使う時の注意点をご紹介していきます。
これからコンポストをスタートしたいという方は、下記の3つの点に注意しながらチャレンジしてください。
- 水分量
- 直射日光
- 虫の発生
① 水分量
生ゴミは水分が多すぎるとカビの発生や腐敗の原因になるので、水分量には注意が必要です。
水分が多く含まれていると土の中の隙間がなくなり、空気に触れにくくなります。そうすることで、腐敗につながり嫌な臭いを発生しやすくなります。生ゴミは水気を切って土に入れましょう。
土を握った時に、団子状になり2〜3個に割れるくらいの固さが理想です。
② 直射日光
微生物は直射日光が当たると死んでしまうので、シートを被せるなどして直射日光を避けるようにしましょう。
また、水分量が多いことも問題ですが、直射日光が当たることで乾燥してしまうと、分解速度が遅くなってしまうこともありますので、注意が必要です。
③ 虫の発生
生ゴミはハエやアブの餌になります。生ゴミにしっかりと土をかぶせておかないと、虫の発生に繋がります。
もし、虫が生ゴミに卵を産見つけるとうじが大量発生します。そして、うじはすぐに成虫になりまた卵を産むのでどんどん増えるので、ますます対処が難しくなります。虫の発生を防ぐためには必ず下記の3つを守ってください。
- 一度に大量の生ゴミを土の中に投入しないこと
- 生ゴミを入れたら必ず土で埋めること
- 虫が卵を産まないように、目の細かいネットで覆うこと
もし、虫が発生してしまった場合は、更に大量発生してしまう前に処分しましょう。
5.コンポストのQ&A
コンポストに関して気になるポイントをQ&A方式で紹介していきます。
- ニオイは大丈夫?
- ベランダでもできますか?
- カビは発生しないの?
- 助成金ってどうやってもらえるの?
① ニオイは大丈夫?
生ゴミを発酵させるコンポストは悪臭がするのではないかというイメージを持たれている方も多いと思います。
密閉式コンポストの場合は、酸っぱいような独特のニオイがしますが、基本的に密閉しているため、フタの開け閉めの時以外は気になりません。
ただし、生ゴミを入れすぎたり、水気が多すぎたりすると、生ゴミが腐敗して臭いが発生することがありますので、コンポストの使い方を守るようにしましょう。
② ベランダでもできますか?
土中式のコンポスト以外は、ベランダでも大丈夫です。直射日光や雨が当たらない場所であれば、問題ありません。
ただし、虫が寄ってくる恐れがありますので、防虫ネットでの対策を忘れずに行いましょう。
③ カビは発生しないの?
コンポストを開けた時に、一面に真っ白なカビが生えていて「失敗した!」とびっくりする人もいるようですが、白カビなら問題ありません。
白カビは、生ゴミを分解してくれる菌の仲間で、質の良い堆肥を作ってくれます。
ただし、黒カビが発生して悪臭があるときには、コンポストの環境が良くない状態です。水分を減らし、米ぬかなどの促進剤を追加しましょう。
④ 助成金ってどうやってもらえるの?
助成金をもらうには、助成金制度を行っている地域や団体の申請方法に沿って申し込みを行う必要があります。
地域・団体によって申請方法が異なりますので、コンポストを購入する前に、事前に確認しましょう。
6. さいごに
このページでは、コンポストの種類や作り方・使い方のコツ、注意点などをご紹介しました。
コンポストとは、微生物の力を利用して生ゴミを堆肥に変えることができる道具のことです。
家庭の生ゴミを減らして、家庭菜園の肥料として再利用できる一石二鳥のコンポストを使って、エコで楽しい暮らしを手に入れてください。